【成年後見制度のありがちな誤解】

先日、ある相談会でご一緒した不動産会社の方から不動産にからむ相談(ほとんど雑談ですが)がありました。
内容は、
ある高齢の不動産の所有者に関して、家族が今後の事を考えて不動産を処分を検討している。ただ、その所有者は既に認知症が進んでいるらしく家族の事すらわからない状態にあるとのこと。
こういった状態の場合、不動産を処分するには後見人をつけた上で手続きをするしかないですよね?
という話でした。
そのお話を伺いこの不動産会社の方がいくつか後見制度について誤解があることを指摘させていただきました。
(誤解1)
後見人をつければ自由に不動産が売買できる
⇒売買するには家庭裁判所の許可がいる為売買しなければいけない合理的な理由が必要。
(誤解2)
不動産の売買の為にとりあえず後見人をつけたい
⇒一旦後見人が選任されたら被後見人が亡くなるまで選任された後見人が関与することになる。
(誤解3)
都合に良い人間に後見人になってもらいたい
⇒希望の人間を後見候補者として申請は可能だが最終的にどの人間を後見人にするかを決めるのは家庭裁判所。

他にもいくつか誤解がありましたが不動産会社にしてみると後見人が選任されると逆に不動産の売買がやり難くなるという印象を持たれたようです。
結局このケースでは相続が発生するまで不動産の移転は難しそうです。

上記の事は成年後見制度の目的を考えれば理解できることなのですが、
成年後見制度はあくまで被後見人の生活などのを含めた財産保護が目的の一つで家族や周囲の人の為の制度ではないということです。

家族や周囲の人がこういったことであわてないように日ごろから家族や周囲と意思の疎通を密にしてできれば財産管理契約や任意後見契約、遺言書の作成などをおこない準備を進めておくことが大事ですね。